S&P 500のリターンのうち、配当はどれだけを占めたのか

2026年9月29日

株式市場を追っている人の多くは、株価指数を見ています。ニュースのティッカーには必ず出てくるからです。ただ、S&P 500のインデックスファンドに投資している人は配当も受け取っていて、長い期間で見ると、その配当を再投資した分が、投資家が実際に得た成果のかなり大きな部分を占めています。

どれだけ大きいかは、いつの時点を見るか、そしてインフレを考慮するかどうかで変わります。このページでは、1930年から2025年までを10年ごとに分けて、年末の株価と配当から計算した結果を示します。

結論から言うと、1928年以降、配当はS&P 500の名目リターンの約3分の1、インフレ調整後のリターンの約半分を占めていました。 最も苦しかった10年間では、損失を小さく抑えた唯一の要因でもありました。

なお、ここで扱うのは米国の株価・物価(米国の消費者物価)であり、日本の株価や物価ではありません。

10年ごとの比較

リターンはすべて年率です。「配当の寄与割合」は、複利ベースの名目リターンのうち配当に由来する部分です(算出方法は後半で説明します)。「期首の配当利回り」は、その10年の最初の年の配当を、前年末の指数の水準で割ったものです。

年代期首の配当利回り価格のみ配当込み配当の寄与割合(名目)価格のみ(インフレ調整後)配当込み(インフレ調整後)
1930年代3.36%−5.29%−0.92%算出不可(損失)−3.32%+1.14%
1940年代4.42%+3.03%+8.50%63.5%−2.21%+2.98%
1950年代9.13%+13.56%+19.46%28.5%+11.09%+16.86%
1960年代3.31%+4.39%+7.74%42.3%+1.83%+5.09%
1970年代3.46%+1.60%+5.92%72.3%−5.36%−1.35%
1980年代5.96%+12.59%+17.34%25.8%+7.13%+11.65%
1990年代3.49%+15.31%+18.05%14.1%+12.03%+14.69%
2000年代1.11%−2.72%−0.95%算出不可(損失)−5.12%−3.39%
2010年代2.04%+11.22%+13.44%15.6%+9.31%+11.48%
2020〜2025年1.76%+13.33%+14.92%10.0%+9.03%+10.56%
1928〜2025年5.93%*+6.27%+10.02%36.3%+3.14%+6.78%

*全期間の行には、10年ごとの行では除いている1928〜1929年が含まれます。期首の利回りは、指数が約38%上昇した1928年のものを使っているため、10年ごとの行とは比較できません。

集合棒グラフ:S&P 500の10年ごとの年率リターン、価格のみ対配当再投資。1930年代 −5.29%対−0.92%、1940年代 3.03%対8.50%、1950年代 13.56%対19.46%、1960年代 4.39%対7.74%、1970年代 1.60%対5.92%、1980年代 12.59%対17.34%、1990年代 15.31%対18.05%、2000年代 −2.72%対−0.95%、2010年代 11.22%対13.44%、2020〜2025年 13.33%対14.92%。
S&P 500の10年ごとの年率リターン、価格のみと配当再投資の比較。Damodaran(NYU Stern)の年末株価と配当から算出。2020年代は2020〜2025年のみです。

全期間で見ると、388ドルか11,570ドルか

1927年末にS&P 500へ投資した1ドルは、価格のみでは2025年末に387.63ドルになりました。配当をすべて再投資した場合は11,570.09ドルで、約30倍の差です。

年ごとの差は控えめに見えます。10.02%と6.27%、つまり3.75ポイントです。ところが98年間の複利で積み上がると、388ドルと11,570ドルの違いになります。

インフレ調整後は、配当の重みがさらに増します。価格指数だけでは実質で年率3.14%、配当込みでは6.78%でした。配当は実質リターンの52.9%を占めています。 購買力の増加の半分以上は、株価の上昇ではなく、再投資した配当収入から生まれたのです。

配当が支えた、値上がりの乏しい10年

表にははっきりした傾向があります。配当の寄与割合が大きかったのは、株価がほとんど伸びなかった10年間です。配当も不況と無縁だったわけではなく、支払われた配当は1929年から1933年にかけて約半分に減り、2009年には約5分の1減りました。それでも、株価が戻らない間も配当は届き続けました。

力強かった1950年代、1980年代、1990年代は、株価が大半の役割を果たし、配当の寄与割合は14.1%から28.5%に下がりました。それでも1950年代と1980年代は、配当だけで年4%超を上乗せしています。

配当の寄与割合が縮んだ理由

株価が上昇した1990年代、2010年代、2020年代では、配当がリターンに占める割合は10.0%から15.6%にとどまりました(株価が下落した2000年代は、再び配当だけがプラスに寄与しました)。この割合が縮んだ算術上の理由は、期首の配当利回りです。1950年代の初めは9.13%、1980年代の初めは5.96%、2000年代の初めはわずか1.11%でした。配当が買値に対して小さな割合でしかなければ、リターンに占める割合も小さくなるしかありません。

利回りが下がったのは、株価のほうが配当より速く上がったからです。背景には、バリュエーション(株価評価)の上昇と配当性向の低下があります。よく挙げられる理由の一つは、米国企業が現金の還元を自社株買いに振り向ける割合を増やしたことです。自社株買いは配当を払う代わりに1株あたりの株価を押し上げるため、「インカム」の一部が価格のみの側に移ることになります。このデータセットに記録されているのは配当と株価であり、自社株買いではないため、どの程度をこれで説明できるかは測れません。

いま配当重視と成長重視のどちらで投資するかを考えるなら、配当投資と成長投資の比較(英語)と配当再投資の複利の仕組み(英語)をご覧ください。S&P 500の実際の配当で、任意の年に一括投資していたらいくら受け取れたかは、配当金計算ツールのヒストリカルモードで確認できます。

算出方法・出典と、「配当の寄与割合」に答えが複数ある理由

このページの数値はすべて、サイトのリポジトリにあるスクリプト(scripts/build-dividend-share.py)で算出しており、出力されたデータセットも同じ場所にコミットしてあります。

出典

「寄与割合」の測り方は2通りある

「リターンのうち配当に由来する割合は?」という問いは、答えが1つのように聞こえますが、少なくとも2通りあります。

2つの方法は全期間ではよく近づきますが、1つの10年間の中ではもっと開くことがあります。他所で引用されている数字も、開始年と終了年の選び方で変わります。価格リターンがマイナスのとき、またはトータルリターンがゼロ以下のときは、寄与割合が100%を超えたりマイナスになったりして、意味をなさなくなります。表ではそうした行を「算出不可(損失)」としています。インフレ調整後では、これが1930年代、1940年代、1970年代、2000年代に当てはまるため、表では10年ごとの実質リターンは示していますが、実質の寄与割合は示していません。全期間の実質の寄与割合は52.9%です。

この数値が前提としていること

まとめ

よくある質問

S&P 500のリターンのうち、配当が占める割合はどれくらいですか?

1928年から2025年まで、S&P 500は配当を再投資した場合に年率10.02%、価格のみでは年率6.27%のリターンでした。複利ベースで見ると、配当は名目リターンの36.3%、インフレ調整後のリターンの52.9%を占めます。株価が上昇した10年間では、この割合は2020〜2025年の10.0%から1970年代の72.3%までの幅がありました。

配当を再投資すると、長期でどれくらい差が出ますか?

1927年末に投資した1ドルは、配当を再投資すると2025年末に11,570.09ドルになり、価格のみでは387.63ドルでした。約30倍の差です。この差は年3.75ポイントで、98年間の複利で積み上がっています。

配当が最も効いたのはどの10年ですか?

株価が伸びなかった10年です。1930年代と2000年代は株価指数が下落し(年率−5.29%と−2.72%)、プラスに寄与したのは配当だけで、損失は年率−0.92%と−0.95%に縮まりました。1970年代は名目リターンの72.3%、1940年代は63.5%を配当が占めました。

近年、配当の存在感が小さくなったのはなぜですか?

配当利回りが低かったからです。1950年代の初めの利回りは9.13%でしたが、2000年代の初めは1.11%でした。株価が上昇した1990年代、2010年代、2020年代では、配当がリターンに占める割合は10.0%から15.6%にとどまりました。利回りが下がったのは、配当より株価のほうが速く上がったためです。よく挙げられる理由の一つは、米国企業が自社株買いで現金を還元する割合を増やしたことで、これは配当ではなく株価に表れます。このデータセットでは両者を切り分けられません。

この数値には税金は含まれていますか?

含まれていません。すべての配当を年に1回、全額再投資し、税金も手数料もかからないと仮定しています。税金があれば再投資できる金額が減るため、実際の再投資の優位性はやや小さくなります。その程度はお住まいの国や口座の種類によって異なり、値上がり益も売却時には課税されます。

#S&P 500#配当#トータルリターン#配当再投資#市場の歴史

← 一覧へ戻る